アンバランスな愛情
携帯がカバンの中で鳴る

「光ちゃん?」
電話の相手に
私は驚いた

大学の近くにあるアパートに
引っ越してから
何の連絡もなかった
光ちゃんから
電話きた

「スーちゃん 元気してる?」

「うん
私は元気だよ」

「そう
それだけなんだけど」

「お姉ちゃんが気になってる?」

「まあ…
そんなところかな」

「直接
お姉ちゃんに連絡すればいいのに」

「駄目だよ
マコ姉を弱くしたくない」

「もう充分
弱くなってるよ

週末ごとに男をかえて
お泊りしまくって

家に寄り付かないの

家にいたって
ぼぅーっと
光ちゃんの部屋のほうを見つめてるよ」

「僕の部屋じゃなくて
兄貴じゃないの?」

「どうだろうね
私は光ちゃんの部屋だと思ってる

お姉ちゃん
瑛ちゃんを好きかもしれないけど

心の支えになってたのは
光ちゃんだから

その存在が大きいと思う」

「もし
マコ姉の遊びが5月になっても
落ち着かなかったら

ゴールデンウィークにでも
こっちにおいでよ」

「そうする
じゃあ、私これから
人と会うから」

「そう
スーちゃんは大丈夫?」

「平気ってまだ言えないけど
瑛ちゃんを好きな気持ちを
隠すつもりもないから」

「スーちゃんは強くなったね」

「全然!
強がってないと
瑛ちゃんが安心しないでしょ?

それだけ」
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