アンバランスな愛情
握られた手を引っ込めようとしても
無理だった

強く握られて
びくともしない

私は大河原さんの顔を眺めた

「いつまで
こうしていれば?」

「もう少しね」

お店の人が
コーヒーとアイスティーを

テーブルに置いた

その間もずっと
大河原さんは
手をつないで離してくれない

私は意味がわからないまま
アイスティーを飲んだ

「写真がどうのって
電話で言ってたけど?」

大河原さんが口を開いた

「あ…あぁ
大河原さんに心当たりがないなら
それでいいですから」

「気になるから話せ」

「探偵なんですから
調べてみては?」

「面倒なことはしない
目の前に聞ける人物がいるなら
聞くのが当たり前だ」

「脅迫状めいたものが
机の中に入っていたり
写真が下駄箱にあったり

怖かったから
勢いで電話しただけです」

「どんな写真?」

「それは…」

「松川瑛汰とのラブいシーンか?」

私の顔が真っ赤になった

「やっぱり犯人ですか?」

「違うだろ!
ちょっと考えればわかることだ

勘違いするなよ」

「俺の他にも
君の周りを嗅ぎつけている
ヤツがいるってことね」

「調べてくれるんですか?」

「まさか!
ただ働きはしない主義でね

金を払ってくれるなら
やってもいいぞ」

「お金、あるわけないじゃない」

「そうだな
んじゃ
無理だ」
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