アンバランスな愛情
光ちゃんと電話が終わる

すると杉田先輩が笑顔で公園に入ってきた

軽く右手を振って
ベンチに座っている
私に駆け寄った

「来てくれてありがとう」

優しい笑顔で私を見る

私は
別れようって言ったよね?

どうして
杉田先輩は笑顔でいられるんだろう

「あの
やっぱり
こうやって会うのは…」

私がベンチを立つと
切り出した

「すみれちゃんは
僕を振ったけど

僕はまだ諦めてないから
だから
振り向いてもらえるまで

頑張るつもりだよ」

「私は
振り向かないと思います

他に好きな人がいるし
きっと
忘れられない」

「本当に忘れらない?

人の心は移ろいやすいもの
僕とすみれちゃんが
定期的に会っていれば

いつかはすみれちゃんは
僕に恋する」

私は下を向いた

杉田先輩の誘いは
正直うれしい部分のある

一人で家にいても
悶々と
嫌なことを考えてしまうから

でも瑛ちゃんが好きな気持ちは
変わらないと思う

「さあ
今日はどこに行こうか?」

「決めてないんですか?」

「会ってから決めようと思って」

「え?
だって…
誘うならそれなりに
計画するもんじゃないんですか?」

「僕は一緒に過ごせれば
どこだっていいから」

女の子の心が動きそうな
言葉をよく知っているね

でも私の心は動かないんだ

瑛ちゃんに言われなくちゃ
心に響かない
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