アンバランスな愛情
学生が見ているかもしれない場所で

キスをするなんて
嫌だった

桜さんが満足そうに
ほほ笑むと俺に抱きついた

俺は顔をあげた

店内から視線を感じた気がした

店の窓に目をやると

スミレと目が合った

スミレ?

なんでここに?

さっき
車に乗って…

俺の頭は真っ白になった

スミレも俺を見ていた

驚いた顔をしていた

桜さんは
スミレがいるのを
知っているのだろうか?

知っていて
わざと

キスをしろと?

「さ、桜さん?
生徒の通学路ですから」

「そうね
今日はまっすぐ帰るわ」

「ええ
わかりました」

俺は早足で
学校に戻った
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