アンバランスな愛情
私と順子は5時限目と6時限目を
屋上へと出れるドアの前で過ごした

瑛ちゃんとの話をしたり
順子の部活の話をしたり

順子は私と瑛ちゃんの話を聞きたがったけど
私がうまく話せなかった

6時限目の授業の最中
私の携帯が鳴った

「はい?」

瑛ちゃんの名前があったから
私は出てきた

『どこにいるんだ?
マコから聞いたぞ
授業に出ていないって』

「屋上に出る階段のところにいる」

『どうして?
一人でいるのか?』

「順子と一緒だよ
教室にいたら、いろいろ言われるだろうから」

『悪かったな
俺の失態だ

相手を逆上させてしまったようだ
何とか誰にも知られずに
相手の行為をやめさせようと思ったんだが』

「瑛ちゃん、犯人と話をしたの?」

『ああ
夕方に警察に行くから
それまでに答えを出せ…って
言ったら掲示板に写真を貼られた』

携帯から漏れる声を隣で聞いていた
順子が
私の携帯を奪った

「このスカポンタン!
最悪の事態を考えなかったのかよ」

『井上か?
ありがとう、スミレの傍にいてくれて

俺はすぐに仕事をやめるつもりだ
スミレのそばで守ってくれないか?』

「小泉に言われなくたって
守りますよぉ…だ」

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