アンバランスな愛情
「スミレ?」

職員室から出てきた瑛ちゃんと
目が合った

瑛ちゃんの顔が厳しくなる

早歩きで私の前に立つと
杉田先輩から
私を引き離した

「スミレが何も知らないからって
隙に付け入るな」

「辞めていく先生に言われたく
ありませんから」

え?
何に?

どうして瑛ちゃんと
先輩が睨みあっているの?

「辞めるから
言えることもある」

「へえ?
何を?

校長先生に止められているくせに」

「そういうことじゃない

君が一番、知られたくない人って
誰だろうね?」

「何?」

先輩の顔が醜く歪んだ

「スミレ、行こう」

「瑛ちゃん?」

「あいつには近づくな」

「どうして?
もしかして?」

脅していた犯人って
先輩だったってこと?

< 91 / 134 >

この作品をシェア

pagetop