舞い踊る炎使い
変わった日常
「おはようございます」
いつも以上に傷だらけになり、俺は遅刻して登校する。今は、休み時間。
髪飾りとブレスレットが盗まれてから、早1週間。俺の日常が変わり始めた。
まず、大きな変化は、悪霊と遭遇しても倒せないこと。そのせいで、傷だらけになることが多くなった。
それに武器が無い間は、他の陰陽師の人に、倒すのを手伝ってもらってたりする。
早いとこ、取り戻さないとな。無くしたら無くしたで、新たに作ることは可能なんだけど、そうなると色々と問題が生じる。だから、何としてでも取り返す!
それに、もう犯人は確信に変わった。将宏は、俺の髪飾りとブレスレットをカバンに付けている。まるで、自分の物のように。
先生も先生で、見て見ぬふりだ。あたかもキーホルダーのように、将宏は付けているから。
「……困ったな」
俺は、ボソリと呟く。直接、返せと言っても無理だと思うし、盗み返すこともしたくない。出来れば、本人から直接返して欲しい。
「……ん?」
悪霊の気配を感じ、俺は辺りを見渡す。だけど、姿は見当たらない。その時、将宏と目が合い、将宏はニヤリと笑った。
「……」
俺は、将宏を睨んで顔を背けた。