舞い踊る炎使い
事件と正体
俺は珍しく悪霊に遭遇することなく、遅刻して登校する(朝から山を走ってたら、こんな時間になった)。……だけど、何だ?この胸騒ぎは……。
「おい!不知火!!」
生徒指導部の先生が、慌てた様子で俺に近づいてきた。
「……何だ?そんなに慌てて……」
「不知火、実は……授業中、お前のクラスの奴らが突然居なくなった」
「……っ!?」
先生の言葉に、俺は驚く。
「……お前のクラスの授業を見てみたら、怪物が現れて……で、その怪物が消えたら、皆も消えてたんだ」
「……悪霊か……俺も居たら良かったな。ま、居たところで何も出来ないけどな」
「あのアクセサリーは返すから、皆を救ってくれ!」
生徒指導の先生が、頭を下げていた。もちろん、俺は助けたい。だけど、その前に――。
「もちろん、助けに行く。しかし、一つだけ条件がある」
俺がそう言うと、先生は顔を上げる。
「あのアクセサリーは、お前らが思っている以上に大切なものだ。それを最初に言ったはずだが、お前は校則だと言い張って奪った」
「すまない……」
「この学校に、あのアクセサリーの持ち込みを許可して欲しい。もちろん、それ以外は持って来ないが」
「……分かった。許可しよう」
先生の言葉に頷き、俺は「俺は、先に俺の教室に居る。持ってきてくれ」と先生に伝え、走り始めた。