舞い踊る炎使い
そう言って悪霊は高笑い、話を続けた。

「お前の能力が使えなくなったところで、悪霊を集めて、皆をさらって、お前を誘き寄せた」

「だから、今日は悪霊に遭遇しなかったのか……」

「お前は、髪飾りとブレスレットを盗れたはず!だが、何でお前はその格好をしている!?」

「先生に返してもらったんだ。条件付きでな」

俺は、悪霊に向かって微笑む。

「くそ……っ!!」

大きな悪霊の周りに、さっきまでいなかった悪霊が、また数匹現れた。

「猛炎よ、舞い上がれ。火だるま―極―」

俺は、素早く悪霊に近づいて次々と悪霊を斬っていく。斬った悪霊は、次々と炎に包まれていった。

俺は、固まっているクラスメイトの皆と向き合って、悪霊のリーダーに背を向けた状態で口を開く。

「……さっきの言葉に、間違いがあったから訂正しておく。俺ら陰陽師は、悪霊を殺す存在ではない。悪霊の未練を断ち切り、成仏させる仕事をしてるんだ……つまり」

俺は一旦口を閉じ、クルリと悪霊の方を見て、微笑んで口を開いた。

「……陰陽師は、悪霊を天に導く存在だ」

「……それでも、俺はっ!!」

「……っ!」

鋭い痛みと、焼けるような熱さが身体中を走る。俺は、斬られた腕の傷口を片方の手で押えた。
< 17 / 22 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop