二度目のキスは蜂蜜のように甘く蕩けて
 叔父夫婦の影響は当然あったが、夏瑛は物心ついたときから絵を描くことが好きだった。

 あの家でもよく描いていたが、叔父は口出しせずに自由に描かせてくれた。

 早くから型にはめるのは良くない、と考えていたようだ。

 高2になって、学校で進路についての話題がでるようになり、夏瑛は美大進学を真剣に考えるようになっていた。

 夏休みが近づいてきたある放課後、そのことを相談しようと叔父の勤める大学に出向いた。

 敷地はさほど広くないが、正門から古びた校舎まで並木道が続く、よくドラマにでてくる大学といった雰囲気だ。

 ベンチや芝生にはさまざまな服装の学生が思い思いに集【つど】っている。

 私服を着てくればよかった、と夏瑛は少し後悔した。

 高校の制服姿の自分はとても場違いに思えた。
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