二度目のキスは蜂蜜のように甘く蕩けて
 体温が一気にあがった。

 顔がにやけてくるのを必死に抑えて、努めてふつうの声で「……よろしくお願いします、靭にいちゃん」と言った。

 そういえば、今朝、テレビの星占いで、一番ラッキーな星座になっていたことを思い出した。

 たまには当たることもあるんだ。

「先生、教授会のお時間ですよ」向こうに座っていた女の人が叔父に声をかけた。

「はいはい、今行きます。じゃあ、沢渡君、よろしくね」

 そう言い残して、叔父はあわてて廊下にむかった。

「夏休みはいつから?」靭也は夏瑛に訊いた。

「えーと、23日が終業式」

「先生は24日に発つそうだから、25日以降ならいつでもいいよ」

 帰り道はずっと足に地がつかないような、ふわふわ漂っているような気がした。

 その夜は興奮してまったく寝つけなかった。
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