二度目のキスは蜂蜜のように甘く蕩けて
 アトリエの戸を開けると、靭也はまだ、奥のソファーで寝息をたてている。

 深い眠りについているように見える。

 木張りの床がぎしぎしと音を立てても起きる気配はない。

 天窓を通して、満月がほのかな光をアトリエに注いでいる。

 目をつぶっている靭也。

 規則正しく、その胸が上下を繰り返していた。

 もう明日からは今日までみたいには会えないんだ。

 こんなに近くにいるのに、触れられる距離にいるのに、果てしないほど遠い存在……

 切ない。

 やりきれない。

 靭にいちゃん、嫌だ。

 離れたくない……
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