二度目のキスは蜂蜜のように甘く蕩けて
 その日もいつものように叔父の家を訪ねた。

 玄関の前に立つと、知らない人の声が聞こえてくる。

 残念。今日は帰ろう、と、引き返しかけたとき、貴子が坂道をのぼってきた。

「ふう。あら、夏瑛ちゃん」両手に買い物袋を提げている。

「お客さんが来てるなら、わたし帰るね」

「せっかく来たのに。お客さんといっても叔父さんのゼミの学生さんだし。3人いらしてるのよ。構わないからあがってらっしゃい。ケーキも焼いたし。これ、とても重たいの。夏瑛ちゃん、お手伝いしてくれる?」

 そう言って、買い物袋をひとつ手渡される。

 貴子さんは、物腰は柔らかいけれどちょっと強引なところもある。

 気は進まなかったが、断りきれず玄関をまたいだ。
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