ビビってません! 〜あなたの笑顔は私の笑顔〜
第52話〜無邪気
百合の体が航に染まった。
航はすぐに百合の頬に柔らかく手を添え、柔らかく言った。
「大丈夫か…?」
「…はい…。」
百合は息と一緒に返事をする。それが精一杯だった。息が焼けるように熱い。胸が一杯で苦しい。だから体が動かない、動かせない。そんな百合の足、体を航はゆっくり動かし、布団を百合にふんわりかけた。航は百合に寄り添い頭をなでる。ふたりは見つめ合う。まだ息が苦しいふたり。
「航さん…。」
「なんだ…?」
「私…。」
「どうかしたか…?」
「航さん…と…?」
「オレと…?」
「ひとつ…?つながった…の…?」
航は息を整えながら答える。
「そうだ…そうだろ…?そう感じただろ?」
「はい…。」
百合は航の胸の中。今にも溶けてしまいそうな、甘く愛らしい声。
「航さん…。」
「なんだ…?」
「嬉し…。ありがとう…。」
「泣くな…バカ…。」
航の手で包まれる、百合の髪と肩。胸の苦しさと涙の苦しさで、百合は心が満ちる。百合は航の肌を肌で感じる。鼓動を感じる。航を感じた。
しばらく百合は夢心地。航に包まれ、ぽーっとする。
「泣きやんだか?」
「はい…。」
「落ち着いたか?」
「はい…。」
航は百合のおでこにキスをし、頬にキスをする。そして体をくすぐり、百合は笑う。ふたりは笑顔で抱き合った。笑顔でじゃれあうふたり。無邪気な笑顔。何の濁りもない愛がそこにあった。
その途中。航は百合に見せた、艶のある目。
「…いいか…?」
航からのサイン。
「…はい…。」
再びふたりは熱いキスをする。ひとつにつながる。そしてじゃれあった。それを繰り返す。ベッドの上だけ時間が止まっていた。
航の唇は百合の首。百合から囁き声。無意識だった。
「わたる…。」
航の動きがピタッと止まる。
「何だよ、今の。」
「え?何ですか?」
「ずるい。」
「え??」
航は百合の髪をくしゃくしゃっとする。
「何するんですか航さん!」
「覚悟しろよ。」
「え??」
じゃれあう姿、愛しあう姿は、とても美しかった。
「あ、航さんにプレゼントがあるんです。」
「何だよ、もうなんもいらねーぞ。」
「ちょっと待っててください。あ…せめて下着…。あれ?下着…どこ…?」
「これか?」
航は百合の下着を指にぶらさげていた。
「ちょっ…返してください!」
航はわざと百合から遠ざける。
「取ってみろよ。」
笑う航に必死な百合。
「航さん!」
下着を取り返し、着けてクローゼットに向かう百合。その後ろ姿も美しかった。航は呼ぶ。
「百合。」
百合は振り返る。
「え?」
「きれいだ。」
航からのストレートな言葉。百合は目を大きくしたまま、心も体も停止する。
「プレゼント、早く持ってこい。」
「は、はい!」
百合が持ってきたのは大きな紙袋。ベッドに上がり、百合は航に渡す。
「出してみてください。」
中身は枕だった。インテリアショップで買ったもの。スモーキーピンク色で、とても肌触りがいい。枕カバーの四方にはフリル。サイドコーナーには大きなサテンのリボン。
「枕?すげーひらひらしてる。」
「航さん用の枕です。」
「は?!こんなの使わねぇよ!」
「女の子らしいものって言ってたじゃないですか。」
「それはオレじゃない、あんただ。そっちのあんたの白いの貸せ。」
「嫌です。そのかわいいのが航さんのです。」
「いいから貸せ。」
「嫌です!」
百合が枕を引っ張った反動で、百合の目の前に航の顔。百合は枕をそっと置く。
「キスして、いいですか?」
「してくれ。」
「何回…していいですか?」
「何回してくれるんだ?」
「何回でもしたい…。」
「じゃあ何回でもしてくれ。」
「はい…。」
キスからの旅は終わらない。
航はすぐに百合の頬に柔らかく手を添え、柔らかく言った。
「大丈夫か…?」
「…はい…。」
百合は息と一緒に返事をする。それが精一杯だった。息が焼けるように熱い。胸が一杯で苦しい。だから体が動かない、動かせない。そんな百合の足、体を航はゆっくり動かし、布団を百合にふんわりかけた。航は百合に寄り添い頭をなでる。ふたりは見つめ合う。まだ息が苦しいふたり。
「航さん…。」
「なんだ…?」
「私…。」
「どうかしたか…?」
「航さん…と…?」
「オレと…?」
「ひとつ…?つながった…の…?」
航は息を整えながら答える。
「そうだ…そうだろ…?そう感じただろ?」
「はい…。」
百合は航の胸の中。今にも溶けてしまいそうな、甘く愛らしい声。
「航さん…。」
「なんだ…?」
「嬉し…。ありがとう…。」
「泣くな…バカ…。」
航の手で包まれる、百合の髪と肩。胸の苦しさと涙の苦しさで、百合は心が満ちる。百合は航の肌を肌で感じる。鼓動を感じる。航を感じた。
しばらく百合は夢心地。航に包まれ、ぽーっとする。
「泣きやんだか?」
「はい…。」
「落ち着いたか?」
「はい…。」
航は百合のおでこにキスをし、頬にキスをする。そして体をくすぐり、百合は笑う。ふたりは笑顔で抱き合った。笑顔でじゃれあうふたり。無邪気な笑顔。何の濁りもない愛がそこにあった。
その途中。航は百合に見せた、艶のある目。
「…いいか…?」
航からのサイン。
「…はい…。」
再びふたりは熱いキスをする。ひとつにつながる。そしてじゃれあった。それを繰り返す。ベッドの上だけ時間が止まっていた。
航の唇は百合の首。百合から囁き声。無意識だった。
「わたる…。」
航の動きがピタッと止まる。
「何だよ、今の。」
「え?何ですか?」
「ずるい。」
「え??」
航は百合の髪をくしゃくしゃっとする。
「何するんですか航さん!」
「覚悟しろよ。」
「え??」
じゃれあう姿、愛しあう姿は、とても美しかった。
「あ、航さんにプレゼントがあるんです。」
「何だよ、もうなんもいらねーぞ。」
「ちょっと待っててください。あ…せめて下着…。あれ?下着…どこ…?」
「これか?」
航は百合の下着を指にぶらさげていた。
「ちょっ…返してください!」
航はわざと百合から遠ざける。
「取ってみろよ。」
笑う航に必死な百合。
「航さん!」
下着を取り返し、着けてクローゼットに向かう百合。その後ろ姿も美しかった。航は呼ぶ。
「百合。」
百合は振り返る。
「え?」
「きれいだ。」
航からのストレートな言葉。百合は目を大きくしたまま、心も体も停止する。
「プレゼント、早く持ってこい。」
「は、はい!」
百合が持ってきたのは大きな紙袋。ベッドに上がり、百合は航に渡す。
「出してみてください。」
中身は枕だった。インテリアショップで買ったもの。スモーキーピンク色で、とても肌触りがいい。枕カバーの四方にはフリル。サイドコーナーには大きなサテンのリボン。
「枕?すげーひらひらしてる。」
「航さん用の枕です。」
「は?!こんなの使わねぇよ!」
「女の子らしいものって言ってたじゃないですか。」
「それはオレじゃない、あんただ。そっちのあんたの白いの貸せ。」
「嫌です。そのかわいいのが航さんのです。」
「いいから貸せ。」
「嫌です!」
百合が枕を引っ張った反動で、百合の目の前に航の顔。百合は枕をそっと置く。
「キスして、いいですか?」
「してくれ。」
「何回…していいですか?」
「何回してくれるんだ?」
「何回でもしたい…。」
「じゃあ何回でもしてくれ。」
「はい…。」
キスからの旅は終わらない。