影を拾った太陽ー番外編ー
「綺麗だね!」
さっきまで顔を真っ赤にしていたくせに、今はイルミネーションを見て目を輝かせている。
コロコロ表情が変わりすぎて着いていけねぇよ。
「そうだな。こんなに綺麗だとは思わなかった」
クリスマスなんてどうでもいいと思っていた。
このイルミネーションだって、ただの電機の装飾だろって。
でも、好きな奴と見たら今までどうでもいいと思っていたことが特別なことのように思える。
どうやら、さっき光凛に言ったこと、自分でも気づかないくらい本当みたいだな。
俺はありえないくらいに光凛が好きだ。
「光凛、これプレゼント」
クリスマス十日前。
電車に三十分も揺られて、遠くのブランドショップに寄った。
三万くらい持って行っとけば何とかなるだろうと思ったが、予想以上に高くて買えないかと思った。
女性の店員さんが値引きしてくれて、何とか買えたけど。
「お兄さん、イケメンだから安くします!」
なんて商店街の八百屋のおじさんみたいなことを言って、値引きしてくれた。
安くしてくれるのは嬉しいけど、良いのか?あれで。
「これ、高かったんじゃない!?最高級ブランドのやつだよね!?」
プレゼント貰って普通、金の心配するか?
「んなの気にしなくて良いんだよ。それより早く開けてみ」
好みとかまったく分かんねぇから、店員さんのおススメを買ってみた。
店で一番高いやつだったのに、店で一番安くしてもらった。本当に良いのだろうか。
「わぁ!凄い!可愛い!」
どうやら気に入ってくれたみたいだな。
女ってこういうプレゼントにはうるさいから(あげたことねぇからよく知らないけど)。
口では可愛い!ありがとう!とか言っていても、本心ではありえないとか思っていることが多い(らしい)。
でも、光凛はそんな腹黒い奴じゃないからな。嘘つけるような女じゃないし。
「ありがとう!一生大事にするね!」
女にプレゼントするのなんて初めてだから上手くいくか不安だったけど、これだけ喜んでくれたら成功みたいだな。
「ま、束縛アイテムだからな」
キョトンとする光凛にため息を吐いた。
少女漫画が好きなくせに、知らねぇのかよ。
「ネックレスは首輪、腕輪は手錠っていう束縛アイテムなんだよ。彼氏が彼女にあげる時は俺のモノっていう印」
今までで一番恥ずかしいセリフかもしれない。
まさか俺が女を束縛する日がやって来るとはな。
「ふふ。私、叶斗のモノだね」
ネックレスを見てクスっと笑いながら嬉しそうに笑う光凛。