影を拾った太陽ー番外編ー
強がって、でも本当は弱くて脆くて。
それを必死に隠そうとしている。
そんな彼女が、放っておけなかった。
少しからかったら異常に反応するところとか面白くて。
彼女が叶斗を好きなのは明確だった。
でもこのままじゃ、俺が名前を教えてあげた意味がない。
だから文化祭に仕掛けてやることにした。
二人の距離を近づける俺のとっておきの作戦。
彼女を空き教室に行かせて、鍵も閉めてパソコンを使って電波をいじり携帯も圏外にさせた。
全ては二人のためだって、自分に言い聞かせて。
胸に感じた痛みを必死に打ち消して。
後夜祭が始まった直後、圏外を解いて叶斗に電話をかけた。
俺の仕業だって気づいていたみたい。
そういうとこは鋭いのにね。
「もしもしー?叶斗?俺俺。どう?密室で好きな女の子と二人きりになった気分は。あれ、その様子だと何もなかった感じ?まぁ良いや。今から迎えに行くね!」
ほんと奥手。
モテるのに、何でこんな奥手なんだか。