金の乙女は笑わない
アイリスの部屋へと入るとアランはゆっくりとベッドにアイリスを座らせ、後について来たエイミーとラルに人払いを頼んだ。
「なぜ黙っていた。王妃のあの態度、あれはどういうことなんだ?」
「・・・・」
アイリスは黙ったまま俯いている。
「話してくれないのか?」
首を左右に振ることはできるが、うまく声が出せない。
「アイリー……アイリス俺はあなたの力になりたい、守りたい」
アイリスのエメラルド色の大きな瞳からポタポタと涙がこぼれ落ちた。
アランはそんなアイリスを優しく抱きしめる。
「アイリスあなたのことは俺が必ず守る。だから話してくれ!!」
アランの胸に顔をうずめていたアイリスは、ゆっくりと顔を上げると、とぎれ、とぎれ、ゆっくりと話し出した。
「私は……現王妃の娘ではありません……側室である……マリアの子です」
アイリスは、つらい過去をゆっくりと呼び覚ましていく……。
「私が生まれたのは寒い冬の朝日が昇り始めた頃だったそうです」