金の乙女は笑わない
トロイア王は、日に日に元気を取り戻していった。
王は国が荒れ果てていることに、嘆き苦しんでいたが、アランの手助けもあり国が復興していくのを嬉しそうに見守っていた。
「アラン殿、本当にありがとう。トロイアが元の平和な国へ戻ろうとしている。なんとお礼を言ったら良いか……。私にも何か出来ることはないか?」
アランは口角を上げると、アイリスの手を握った。
「それではアイリス王女をいただきたい。もちろん人質としてではなく、我が妃として」
王はむむっとうなり眉間に皺を寄せ、少しの間黙っていたが、すぐに表情を和らげた。
「ふぉっふぉっふぉっ、そう言うと思っておった。しかしのー、私も一人娘とやっと話が出来る
ようになって、嬉しい時に離れるのは寂しいのじゃ。そうじゃのー、一週間に一度とは言わな
いが、ちょこちょこ帰してくれるか?」
「アラン様……」
心配そうに見つめてくるアイリスをアランは横から抱き寄せる。
「了解した」
「ふぉっふぉっふぉっ、アイリス幸せになるのじゃぞ」
「はい!」
娘の幸せを願う王は目を細め、アイリスは人から愛される喜びに胸を打たれていた。