金の乙女は笑わない
アイリスの笑顔
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アイリスがフィルタイト帝国へやって来て一週間が過ぎた頃。
アイリスは一人、テラスで朝食を摂っていた。
「はーー」
いつもの様にため息をついているとエイミーが心配そうに顔を覗き込んでくる。
「大丈夫ですか?やはりトロイアへ帰りたいですか?こちらへ来て一週間ですものね」
「・・・・」
アイリスは俯き何も言わない。
「そうだ!今日は天気もいいですし、中庭へ行ってみませんか?珍しいバラが咲いたそうですよ」
「そうね……」
それだけ言うとテラスから外を眺めそっと目を閉じた。
アイリスは人質としてフィルタイトへやって来たが、悲しみや恐怖はなかった。
今頃お父様は、厄介者の王女がいなくなって清々してるかしら?
「はーー。……」
もう一度深くため息をつき、目を開けると
エイミーと中庭へと移動した。