となりに座らないで!~優しいバレンタイン~
くそー。
いつの間に消えたんだ……
スマホを手にするが、彼女の連絡先など知らない……
すると、スマホが音を出して震えた。
「もしもし……」
「おう! 彼女はどうしいている?」
スマホから聞こえる、いやらしく明るい真治の声だ。
「消えた……」
「ま、マジか…… お前何した?」
「何もしとらん」
「まあいい。れいの男だが……」
真治の仕事の速さには毎回驚かせられる。
真治によると、野村隆という男は、大きな総合病院の事務長の娘と結婚している。妻は看護師らしく、こんなにも早く情報が入った理由は、妻が野村隆の不倫調査の依頼をしていたからだった。
おかげで、簡単に色々な情報が入ってきた。
俺は、会社に着くと、すぐに営業部長を部屋に呼んだ。渡辺商事についての、最近の報告を聞いたまでだ。渡辺商事には、それほどの問題はなさそうだ。
「営業担当の方は、特に問題ありませんか?」
そもそも、こんな質問をするのはおかしな事なのだが……
「社長、よくお気付きで…… どこかでお会いしてますか?」
「いや」
俺は、営業部長に話を促した。
「それが、担当の野村という男なんですが、営業としては、可もなく不可もなくと言ったところですが…… うちの女子社員をプライベートに誘うようで。一人ではないものですから……
中には深い関係になった者もいるらしく、先日、拗れない程度に注意は促したのですが……」
営業部長は、困ったように眉間に皺を寄せた。
「わかりました。もし、今、渡辺商事との取引きがなくなると、うちとしてのダメージはどのくらいありますか?」
「そうですね。正直、今の現状でしたら、代わりの業者の確保はそれほど大変ではないと思います。ただ、渡辺社長とは古い付き合いですし、渡辺商事にとってはかなり痛手だと思いますよ」
「そうですか。この件、私に一任させて頂けませんか?」
営業部長は少し驚いたようだが、大きく頷いてくれた。
「社長、渡辺商事と何かあったのですか?」
「いや」
俺は、冷たく言った。やはり、社内では冷酷な社長でいるべきだと思う。
だが、営業部長は、ほっそりとほほ笑んで部屋を出て行った。
いつの間に消えたんだ……
スマホを手にするが、彼女の連絡先など知らない……
すると、スマホが音を出して震えた。
「もしもし……」
「おう! 彼女はどうしいている?」
スマホから聞こえる、いやらしく明るい真治の声だ。
「消えた……」
「ま、マジか…… お前何した?」
「何もしとらん」
「まあいい。れいの男だが……」
真治の仕事の速さには毎回驚かせられる。
真治によると、野村隆という男は、大きな総合病院の事務長の娘と結婚している。妻は看護師らしく、こんなにも早く情報が入った理由は、妻が野村隆の不倫調査の依頼をしていたからだった。
おかげで、簡単に色々な情報が入ってきた。
俺は、会社に着くと、すぐに営業部長を部屋に呼んだ。渡辺商事についての、最近の報告を聞いたまでだ。渡辺商事には、それほどの問題はなさそうだ。
「営業担当の方は、特に問題ありませんか?」
そもそも、こんな質問をするのはおかしな事なのだが……
「社長、よくお気付きで…… どこかでお会いしてますか?」
「いや」
俺は、営業部長に話を促した。
「それが、担当の野村という男なんですが、営業としては、可もなく不可もなくと言ったところですが…… うちの女子社員をプライベートに誘うようで。一人ではないものですから……
中には深い関係になった者もいるらしく、先日、拗れない程度に注意は促したのですが……」
営業部長は、困ったように眉間に皺を寄せた。
「わかりました。もし、今、渡辺商事との取引きがなくなると、うちとしてのダメージはどのくらいありますか?」
「そうですね。正直、今の現状でしたら、代わりの業者の確保はそれほど大変ではないと思います。ただ、渡辺社長とは古い付き合いですし、渡辺商事にとってはかなり痛手だと思いますよ」
「そうですか。この件、私に一任させて頂けませんか?」
営業部長は少し驚いたようだが、大きく頷いてくれた。
「社長、渡辺商事と何かあったのですか?」
「いや」
俺は、冷たく言った。やはり、社内では冷酷な社長でいるべきだと思う。
だが、営業部長は、ほっそりとほほ笑んで部屋を出て行った。