世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ
退院の日
詩優side
今日は花莉の退院の日
だったんだけど……。花莉は朝から38度を超える熱を出した。
医者にみてもらった結果、
「A型インフルエンザだね」
と言われてしまった。
「……退院、できないんですか…?」
弱々しく言ったのはベッドの上に大人しく座って、涙目になっている花莉。
花莉は入院中、「早く帰りたい」と1日3回以上は言っていた。よほど早く帰りたかったんだろう。
「腹部の傷は完治してるから退院しても大丈夫だよ。大事をとって退院の日を先送りしてもいいけど、どうする?」
医者の言葉に花莉は
「退院します」と即答。
「ほんとに大丈夫か?」
ちらりと花莉を見れば、彼女は口元を手でおさえて「…大人しくするから」少しくぐもった声で答える。
花莉の目が涙目で、なんだか寂しそうだったから
「…わかった」
と答えた俺。
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