世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ
詩優との距離を詰めて、いつも通りぎゅと抱きつくと、強く抱きしめ返してくれる。
詩優の腕の中は温かくて、いい匂いで、すごく安心する。
私がいつもすぐに眠ることができるのは詩優のおかげだ。
「寝る前に、おやすみのキスでも練習する?」
目を瞑ろうとしたらそんな声が上から降ってきた。
お、おやすみのキス!?
しかも練習!?
その言葉のせいでまたまた暴れ出す心臓。
「し、しないよ…っ!!」
詩優の胸に顔を埋めたまま答えた。
な、なんで今なんだろう…
おはようとおやすみの…キスは引っ越してからのはずでしょ……?
「じゃあ朝起きたら、おはようのキスの練習するか」
今度はそんな声が聞こえてきたから、
「おやすみ…っ!」
と言ってから目を瞑った。