世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ
*
「じゃあ、行ってくるな」
「うん!行ってらっしゃ───っ」
今から出かける詩優に手を振ったら、玄関先で……
まさかのキス。
「結局、おはようのキスの練習してなかったしな」
小声でそう言った詩優はにやりと口角を上げてから、私の頭を優しく撫でて
「行ってくる」
ともう1回言ってから部屋を出て行った。
時間差で熱くなっていく頬。
ドキドキ…というかバクバク激しく鳴る心臓。
いきなりキスされるのは…心臓に悪い。
というか、昨日の夜からドキドキさせられてばかりだから余計に。
熱くなった顔を手でパタパタとあおいで冷ましていたら…
「みーちゃった♪」
倫也の声が後ろから聞こえてきた。
ビクッと大きく跳ねる心臓。
ぱっとすぐに振り返ったら、
「大丈夫大丈夫。誰にも言わな──いと思った?」
倫也はにやにやしながらこの場から全力ダッシュ。