世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ
ベッドをおりると、おでこから水分を失った冷却シートがはらりとはがれ落ちた。それに続くようにマスクも床へと落ちていく。
…マスク…しなきゃ……
フラフラする足でマスクを拾って、それをつけてからリビングへ向かった。
だけど……。
部屋は真っ暗で、誰かがいる気配がない。
不安はどんどん大きくなっていく一方。
彼の部屋の扉を開けて、部屋の中を確認。
……リビングと同じように、部屋は真っ暗で誰もいない。
「詩優……っ」
彼の名前を呼ぶ。
それからトイレも、お風呂場も詩優がいるか確認したけど……
どこにもいない。
……どこにいるの
……1人はやだよ
……怖い
……寂しいの
……そばにいてよ
……早く帰ってきてよ
視界に涙が溜まって、こぼれ落ちる。