世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ
「!?」
く、くち!?
口開けてどうするの、なんて聞かなくてもわかる。詩優は…深いキスをする気なんだ。
ドキドキと加速する心臓。
触れられている頬がどんどん熱くなっていく。
「早く」
口角を上げて急かしてくる彼。
「な、なんで…!?」
「おやすみのキス忘れて寝ようとした罰」
確かに…詩優がキスしなかったらそのまま忘れて寝ちゃってたけど……
それは本当に眠かったから忘れていただけで。
しかも今日は引越し初日で、新生活のルールを忘れても大目に見てほしい。
「…今日くらい許し─────…」
『今日くらい許してよ』
と言いたかったのに、言い終わる前に口を塞がれた。
開いた口の中へと熱いものが侵入して、私の体をあつい熱が支配していく……。
私は詩優にされるがまま。
電気は常夜灯になっているから視界が暗くて、至近距離の彼の顔がぼんやりと見えた。
…余裕そうな顔。
ドキドキしてるのが私だけみたいでなんかずるい。