世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ
春休みと悩み
花莉side
赤点もなく無事に春休みに入ったある日。
隣に座る詩優の袖を引っ張って
「あのね、バイトしたいの」
そう言った私。
内心すごくドキドキ。
前に一度同じことを言って『だめ』と即答されたことがあるから。
また即答されたらどうしよう…
そう不安に思っていたら詩優は私と目を合わせて
「やりたい仕事ってもう決まってたりする?」
と聞いてきた。
「き、決まってない…」
「姉貴と親父が夏休みに花莉がうちで働かないか、って言ってんだけどどうする?
嫌なら断っとくけど」
詩優のまさかの言葉。
朱里さんと、詩優のお父さんから……そんな嬉しい言葉をもらえるなんて…!!
「ぜひっ!!働きたいっ!!働かせてくださいっ!!」
興奮のあまり詩優の腕を引っ張る私。
詩優はそんな私を見て笑いながら、大きな手で頭を撫でてくれた。