世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ
医者にもらったマスクを花莉は着用。
大人用のマスクをしたのか、顔が小さくてマスクのサイズが合っていない。
マスクの方が大きく見える…。
思わずふっ、と笑うと力ない手でぽかぽかと叩かれた。
「大人なのに…」
しょんぼりしてそう小さく呟いている姿がなんだか可愛い。
「こっちのサイズの方が合うかな」
次に花莉が医者に渡されたのは“子ども用”とかかれた箱の中に入っていたマスク。
それを素直に受け取って、花莉が着用すると。
見事にぴったり。
また笑いそうになるのを必死でおさえていたら、花莉にぽかぽかと叩かれた。全然痛くないから気にしねぇけど。
「詩優くんもマスク着用してね」
俺が渡されたのは大人用のマスク。
花莉は手を止めてじっと見つめてきた。そんなに羨ましいのか?
「俺、めったに風邪ひかないですよ」
最後に風邪をひいたのは何年も前。
最後にインフルエンザにかかったのだって、小学生の時かも知れない。