世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ
「だめだよ。詩優くん、最近充分な睡眠時間とってないだろう?免疫力が低下していると思うから、一応マスクは着用しておくように」
そう言われると、花莉が俺を見つめたまま
「ちゃんと寝てないの…?」
不安そうに聞いてくる。
「ちゃんと寝てる」
これは嘘ではない…はず。
花莉の病室でずっと寝泊まりして、花莉が辛そうな時はいつも起きていた。けど、大丈夫そうになってからは普通に仮眠室で寝ていた。
それにここで花莉と昼寝もしてるし、もはや寝すぎかと思うくらい。
だから花莉が心配することではないんだけど
「……マスクしないんだったら近づかないで」
花莉は俺と距離をとって離れていく。
ベッドの真ん中に座っていたのに、端っこまで。
「わかったから。マスクするから。戻ってこい」
花莉が離れているほうが俺は辛い。
大人しくマスクをして、花莉を手招きで呼んだ。