世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ




「私と花莉が半袖になるのって体重測定くらいよね」



京子がそう言う。



確かに…そうかもしれない。
私と京子は毎年夏でも長袖長ズボンで、半袖になることなんて滅多にない。




京子は肌を出すのが嫌だと以前言っていた。
私は、前の家で暴力を振るわれていたから傷や痣を隠すために着ていたんだけど…。今もなんとなくクセで長袖と長ズボンを着てしまう。




もう、暴力を振るわれないから半袖を着ることができるのに。
でもこのままがやっぱり1番落ち着く気がする。もう長いこと半袖なんて着てなかったからかな…?




「そうだね」




私もそう返すと明日葉は




「毎年思ってたけど!!!夏は暑いんだから2人とも我慢しないで半袖着なよー!!!」




早くも長袖のジャージを脱ぎながらそう言う。




「絶対やだ。
明日葉は覚えてるでしょ?中学の時のあの事件」




はぁ、とため息をひとつつく京子。




…中学の時の、あの事件?
それはいったいなんだろうか。



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