世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ
足を進めると、話し声が聞こえてきた。
何かと思い、声が近くなると忍び足で近づいて。
声のしたほうを物陰からひょこっと覗き見る。
すると、そこには見えたのは……
ジャージを着た詩優の後ろ姿と、金髪でショートヘアの女の子の姿。女の子は、昨日、詩優が助けたあの女の子。
お、同じ学校…だったんだ……
しかも、1年生…
その子は頭を下げて詩優に何かを差し出していた。
紙袋、だろうか。
昨日のお礼、とかかな……。
だとしたら私が止める必要もない…よね。
でも、胸がもやもやする。
昨日のあの子のキラキラした瞳、赤い頬を見てしまったから。たぶん、あの子は詩優のことを好きになってしまった。だから一緒にいてほしくない、なんて思ってしまう。
じっと物陰から2人の様子を見ていたら、詩優が口を開く。
「まじで気にすんなよ。たまたま通りかかっただけだし」