世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ
「わ、私にとっては命に関わることだったので…!!!!お礼に受け取ってくださいっ!!」
女の子は顔をあげようとしない。
「ほんとに大丈夫だから。
体育館もう誰もいなさそうだし、俺らも早く教室戻るか」
そう言って詩優が足を進めようとしたら──────────────。
「待ってくださいっ!!!」
女の子は急いで走り出し、ぎゅっと詩優に抱きついた。
その子の表情は、昨日見たあの表情と全く同じ。
キラキラとした瞳に、赤く染まった頬
ドクン、と心臓が鳴る。
早く止めなくちゃ。
私が彼女です、って言わなくちゃ
そう思っても心とは反対のことをしてしまい…。1番やってはいけないことをしてしまった。
どうしても見ていられなくなって、私はこの場から逃げたんだ。
「好きです…っ!!!!!」
と後ろからそんな声が聞こえたのに。