世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ
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あの告白現場を見たあと、たくさんの後悔が押し寄せてきた。
あの瞬間をやり直せたら…
と何度か祈ったけどやっぱり無理で…。
あれから教室へと戻ってきた詩優はあの告白のことを何も言わず、ただいつも通りに過ごしていた。
そして、頭の中で繰り返されるのは、
『詩優ってさ、積極的な女の子に弱いんだよね』
という倫也の言葉。
少しでも詩優の気持ちが私から離れたらどうしよう、という恐怖。
私は全校集会の時も、部屋に帰ってからも、今も、全く気持ちが落ち着かない。
「花莉、もっとこっち来て」
詩優は電気を常夜灯にしてから、そう言って私を呼ぶ。
はっと我に返って詩優を見つめたら、なんだか彼はいつもより少し離れたところにいた。
不自然にできた私と詩優の距離。
ひょっとして……
詩優は私と寝たくない!?
すぐに嫌な気持ちに心が支配される。