世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ
「……」
何も言えないでいたら、詩優は
「俺がそっち行く」
と言って距離を詰めてきた。
密着するくらい身体をくっつけて、ちゅっと唇にキスをひとつ。
「おはようとおやすみのキスは必ずするって約束だろ」
それから頭を撫でてくれて、「おやすみ」と言って目を瞑る彼。
…ふ、普通にキスされた。
一緒に寝たくないわけではなさそう、?
さっきの距離はなんだったんだろう…
そう思い、仰向けになって寝ようと思ったら
コンっ
と、頭をぶつけた。
軽くぶつけただけだから全然痛みはないけど…な、なに!?
くるりと後ろを向こうとしたら、再び頭をぶつけた。
ぶつかったのは、まさかの、壁。
な、なんでここに壁が!?
なんて思ったが、さっきあった詩優との不自然にできた距離を思い出した。
あれは、詩優が私から離れるために遠くにいたわけではなく……私が詩優から離れていたんだ。
考えごとをしながらベッドに入ったから全然気づかなかったや…。