世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ
わかってる。
自分が積極的じゃないことくらい。
私はいつも詩優にしてもらうことのほうが多くて、自分からはほとんど何もしていない。
こんなんじゃら本当に詩優の心は…いつか、私から離れてしまう。
積極的な女の子のほうに行ってしまう…。
このままじゃだめだ。
詩優が好きだから……私も積極的にならなくちゃ。
私は寝てる詩優にぎゅっと抱きついた。
いつもは詩優が私を包み込むように抱きしめて眠ってくれているけど、今日は逆。
私が詩優を包み込むように強く抱きしめる。
寝てるから気づかれないけど…
これも積極的になる練習…。
私も目を瞑ろうとしたら、
「可愛すぎ」
上から降ってきた彼の声。
…え!?
寝てたんじゃ…
詩優から離れて顔を見ると、薄暗い中確かに目が合った。
「起こしちゃった!?」
「花莉がいつになっても俺に悩み言わねぇから、いじめたくなってこのまま寝たフリしてた」
「ごめんごめん」
と付け足してぽんぽんと頭を撫でてくれる。