世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ
ガチャっとドアを開けて、寝室に戻ると。
ベッドの上に座って私を待つ詩優と目が合った。
薄暗い中、彼は私を見て瞬きを数回。
ドキドキと鳴る心臓を抑えて、私は詩優のもとへと行くと彼の膝の上に向き合うように座った。
そして、彼の頬に手を添えて触れるだけのキスをひとつ。
じっと詩優を見つめると、彼はまだ驚いているのか瞬きをして私と目を合わせるだけ。
これは…攻めるチャンスかもしれない。
私は詩優の両肩をぐっと後ろに押す。
これで後ろに倒れると思ったんだけど……。男の人はそう簡単に倒せない。
勢いつけて、タックルするしか方法はないのかと思ったが、とあることを考えついた。
…確か、詩優は……
彼の耳元に近づいて、口を開けて。
右耳をぱくりとを食む。
瞬間、ビクリと動く詩優。
そして私はそのチャンスを逃さずに、詩優の身体を後ろへと押した。
すると、彼は後ろへと倒れていく。