世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ





すごく嬉しくて、もっと顔が緩んでしまう。
にこにこしていたら、髪に触れていた手が滑るように移動して、私の頬に触れた。





そして、顔を近づけてくる詩優。




ま、まさか……
今、ここで、キ、キスするの!?




だめだとはわかっていてもどうしたらいいのかわからなくて、ぎゅうっと強く目を瞑る。




肩に大きな手が回ってきて、
それだけでも大きく心臓が跳ねた。




それから体を引き寄せられて、ぽすんと詩優の体に抱きとめられる。

鼻腔をくすぐるのは、甘い香り。




キスは落とされることはなく、ぎゅっと強く抱きしめられている私。




き、キス…じゃなかった……

ゆっくり目を開けると、視界は詩優に抱きしめられているから真っ暗。






「えー、そこはキッスじゃないの~?」





耳に届いたのは倫也の声。
その言葉でここが教室なんだと思い知らされる。




ここは、教室。
きっと倫也だけでなく、クラスのみんなが見て……




なんてことをしようとしてたんだ、と自分の中で反省。
顔が熱くなりすぎて今は前を向けない。あと少し、あとほんの少しだけでも詩優の胸に隠れさせて…。


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