世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ
それからさらに休み時間に空木さんは教室へと来て詩優に話しかけようとする。
私は詩優の手を強く握って必死に彼の気を引いた。
そうでもしないと詩優をとられてしまうような気がしたから…。
空木さんはそれでもやっぱり諦めてくれなくて、休み時間になるたびに教室へと来て詩優にアタック。
私はそのたびに詩優を守って守って…
長い長い1日がやっと終わる。
「せんぱーい!!!今度は私とも遊んでくださいねー!!!」
昇降口を出て、康さんの車へと向かう途中で聞こえてきたのは空木さんの声。
立ち止まって声のした方を見ると……3階のベランダから大きく手を振っている人物が見えた。
私の視力ではよく見えないが、この声、そしてこの行動力からして確実に空木さんだ。
空木さんが昇降口にいなかったから安心してたのにまさかの3階から…
「し、詩優…っ!!早く乗ろう…っ!!」
私は詩優の背中を強く押して、康さんの車へと向かった。