世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ
「頑張るんやで!」
耳元でそう小さく真理亜は言って、走ってこの場を去っていく。
「どうした?」
紅色の特攻服を着た大雅さんが声を出す。
そう聞かれても……
な、なんて答えればいいのだろう…。
半ば強引に連れてこられたわけで、真理亜のように…しようと思ったわけでは……
そう思っていたら隣にいる氷菜が口を開いた。
「…大雅くん、少し、しゃがんでください……」
少し震える声。
大雅さんは不思議そうにしながらも氷菜の言う通りに従って、氷菜と同じ背の高さまで屈む。
もしかして、と思った時には─────────
氷菜は大雅さんと唇を重ね合わせていた。
間近でそれを見た私は心臓がドキドキ。
大雅さんと氷菜も美男美女カップルだから、思わずじっと見つめてしまう。
氷菜はすぐに離れて、
「怪我しないように気をつけてくださいね…!!!」
と赤い顔で言いながら走り去って行った。