世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ




「…っ」



ここまできてしない、なんていう選択肢はない。
ドキドキして、緊張して、恥ずかしいけど…




積極的になるんだ。
積極的に…





「詩───────────」




彼の名前を呼ぼうとした瞬間、おでこに落とされるキス。
続いて詩優の唇は私の頬に触れて、私の横髪を耳にかけたと思ったら次に耳に優しくキス。




これで終わりかと思ったら……
ぱくりと優しく食まれた。




「っ!!!!」




急なことにびっくりして、ビクリと反応する身体。
詩優はそんな私を見て、




「この間やられたから、その仕返し」




そう言って笑う。

“仕返し”
その言葉と今の行動で思いつくのは…この間の夜のこと。




積極的にならなきゃだめだと思った、あの夜。




私は、詩優に同じことをした。
詩優は耳が弱いから、耳を食んで……。私が積極的になろうと思ったのにそれを詩優に制されてやられっぱなしだった。




仕返しならたくさんされたはずだけど…
私が詩優の耳を食んだことをまだ気にしていたのだろうか…。



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