世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ
それを意識してしまったら急にドキドキと胸が鳴り出した。
緊張で手汗が出てくる。
なんて言って渡せばいいんだろう、受け取ってくれるかな、美味しいかな、とか今更考えてしまう。
ドキドキと早鐘を打つ胸をおさえるために、深呼吸を3回。
…少しだけ、ほんの少しだけ、落ち着いた気がする。
ここで時間をとっていると学校に遅刻してしまうかもしれない。それに、たぶん詩優はいつも通り起きていないだろうから起こさないと。
一応扉をノック。
けど返事はなくて、「失礼します」と小さな声で言ってから部屋の中に足を踏み入れた。
案の定、ベッドの上で気持ちよさそうに詩優は眠っていた。
…起こすのがもったいない
なんて思ってしまうけど、
「起きてー!」
詩優の体を揺すった。
…うん。
これだけで起きないのはわかっている。いつものことだから。