世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ
口を開こうとしたら再び
ピルルルルルル、と私のスマホの着信音が鳴った。
返されたスマホの画面を見てみると、【夜瀬 詩優】と表示されていた。
「…声出さないで」
私は空木にそう言ってから通話ボタンをタップ。
『お前今どこにいんの!?』
電話越しから聞こえてくるのは詩優の焦った声。
誰にも何も言わずに教室からいなくなって、しかも授業までサボっているから心配かけてしまっているんだ…。
なんだかすごく申しわけない。
けど…今、空木といるなんて言えない。
「あ、えと…ごめんね。今、お腹痛くてトイレにいるの…」
私は、詩優に嘘をついた。
大好きで、1番大切な人なのに。
『大丈夫か!?体調悪いんじゃ今日はもう無理せず帰ろ。花莉の鞄持って昇降口にいるから、落ち着いたら電話して』
詩優は私の嘘なんて気づかずに優しい言葉をかけてくれる。
私に残るのは詩優に嘘をついた罪悪感。