世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ
「あいつならたぶん大丈夫だろ」
詩優はドキドキしている私とは違って落ち着いてそう返す。
“あいつ”って…何か引っかかる。ひょっとして知り合いなのだろうか。
まさか……
詩優と仲がいい女の子、とか?
「し、知り合い…?」
気になって聞いてみる。
「倫也の元カノ。それもただの元カノとかじゃなくて…あいつが中学の時に初めてできた彼女。
俺も少しなら話したことあったからさ」
返ってきたのはまさかの言葉。
さっきの子が倫也の元カノで、しかも……初カノだなんて…。びっくりだ。
倫也の昔の話とかちゃんと聞いたことなかったもんな…。
「そ、そうなんだ…」
「倫也の話はこれで終わり」
詩優はそう言って、さらに私を強く抱きしめる。
「話戻すけど、またなんか俺に隠してんだろ」
背後からそう言われ、私は慌てて「か、か、隠してない…っ」と返す。