世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ
「これから伸びるもんっ!!」
ぷくっと頬を膨らませて冬樹くんを見るとちょうど食器洗いが終わったみたいで。
「花は小さくても大きくても可愛いよ」
そう言いながら私が手に持っていたを食器拭きのふきんを奪った。
食器を全部拭いてくれると、「花」と呼ばれて。
何かと思って冬樹くんと目を合わせると、じっと目を見られた。
特に何を言うでもなく見つめ合うこと数秒。
今度は私の前髪をさらりと手でどかすと……
こつんとおでこをくっつけてきた。
合わさるおでことおでこ。
「っ!?」
至近距離にある冬樹くんの顔。
急な出来事に心臓はびっくり。
びっくりしすぎて硬直する体。
少しの間くっつけて、冬樹くんは我に返ったかのように慌てて離れていく。
「ご、ごめ─────────」
冬樹くんがそう言ったのとほぼ同時。
私の腕は掴まれて、強く後ろへと引かれた。
それから耳に届いたのは
「…榊。なにしてんの」
と言う詩優の低い声。