世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ
私でも背筋が凍ってしまいそうな声だ。
かなり怒っている、というのは詩優の後ろ姿を見ただけでもわかる。
「は、花が──────────、っ」
冬樹くんが答えようとしたら詩優は冬樹くんの胸ぐらを掴んで。
ガンッ!と大きな音をたてて冬樹くんの背中はキッチンにぶつかる。
「し、詩優っ!!」
私は必死に詩優を止めようと2人の間に入ろうとした。
だけど詩優は冬樹くんを離してくれなくて…。
「や、夜瀬!!い、今のは誤解だ…!!花が──────────」
冬樹くんはそう言って詩優の手を振り払おうとした時、冬樹くんの肘が私のマグカップへとぶつかり……。
それが床へと落ちていく。
それに手を伸ばすけど一瞬のことで間に合うわけもなく。
マグカップは激しい音を立てて床へと落ちた。
「……っ!!!」
床を見ると私の割れてしまったマグカップが。
白猫の、詩優と柄違いで買ったマグカップ……。
ついさっきまで使ってたはずなのに、今では破片が飛び散ってしまっている。