世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ
その日の夕方、俺は族の用事が入った。
花莉にそのことを伝えると、俺の袖を掴んでなんだか寂しそうな表情を浮かべた。
…一緒にいたい、って思ってくれてんのかも。
勝手にそんな期待をする俺。
彼女はそんな表情をしても寂しいなんて言わず、ただ「行ってらっしゃい」と言ってくれた。
寂しい、って言ってくれても行かないわけにはいけねぇんだけど…。そういう気持ちはちゃん、言ってほしいって思う。
「行ってくる」
花莉の頭を撫でて俺は倉庫を出た。
帰りにプリンでも買って帰ろうか。
いや、一刻も早く帰った方がいいか。プリンは明日にして…。
帰ったらたくさん抱きしめよう。
そう思いながら急いで用事を終わらせて、部屋へと帰ったのは0時過ぎ。
花莉は部屋にいなかった。