世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ
俺はすぐに通話ボタンをタップ。
「ごめん花莉!さっき倫也からのメール見たんだけど、俺のこと倉庫で待ってんだって!?」
帰ってくる前にメールを確認すれば良かった。
そうすれば花莉を迎えに行けたのに。
そんな後悔と申し訳なさが胸の中を支配する。
『勝手にごめんね…』
電話越しから聞こえてくる花莉の声と雨音。
今、外にいるのかも。
「俺もごめん。早くメール見てればよかった。
それより今どこ?俺もう部屋帰ってきてるからもしまだ倉庫なら迎えに行く」
ぎゅっと握りしめたバイクの鍵。
玄関に行って外へと出ようとしたら
『あ、今はもう倉庫じゃないの…、駅にいて……』
そう聞こえてきてぴたりと足を止めた。
まさかの、倉庫じゃなくて、
「駅!?」
『…うん。たまたま冬樹くん見つけて……それで、困ってるみたいでね……』
“冬樹くん”
その名前を聞いた瞬間、心臓が嫌な音を立てた。