世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ
『お願い…』
もう一度聞こえてきた花莉の声。
…ほんとはすげぇやだけど、絶対泊めたくなんかねぇけど……
花莉が風邪ひくなら……
榊を部屋に泊めて、花莉を早く帰ってこさせた方がマシだと思った。
「…今言ったこと、忘れんなよ」
そう彼女に返すと
『いいの!?』
すげぇ嬉しそうな声。
…なんかムカつく。なんで榊部屋に泊めることになってそんなに喜んでんだか。
「…1泊だけな。2度目はねぇって言っといて」
『ありがとう、詩優!!!』
「つーか、いつまでも駅にいないで早く帰ってきて。帰りは康の車?」
『うん!!そうだよ!!今から帰るね!!じゃあまたあとで!!』
それで電話は終わり。
終わったあとはため息が漏れた。
…許可したのは俺だけど榊になんか会いたくねぇし。
あいつ、絶対まだ花莉のこと好きだろ。
花莉も花莉で榊のことで必死になりすぎ。
放っておけばいいものを…。
俺はもう一度ため息をついて部屋の前で花莉を待った。