世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ
…まさか、泣いて!?
焦ってぱっと顔を上げると花莉は泣いていなかった。
その雫は、花莉の濡れた髪から滴り落ちたもの。
でも、花莉は……
泣いていないけど、強く唇を噛んで泣くのを必死に耐えているようだった。
…まじで、謝んねぇと。
早く……早く。
心ではそう思っていても言葉にすることができなかった。
だって、榊がここにいる限り俺の心は穏やかではないわけで。
口を開けばまた何か花莉に酷いことを言ってしまうかもしれない。
俺の頭が冷えてから……
明日、榊が帰ったあとに謝ろう。
俺は花莉から離れて、部屋をあとにした。