世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ
「ご、ごめ────────」
榊が我に返ったかのようにそう言った時、俺は花莉の手首を掴んで後ろに引っ張る。
「…榊。なにしてんの」
怒りを抑えることができなくて、低い声が出る。
榊は昨日、俺と約束したはずだ。
花莉に手ぇ出すな、って。
なのに今、花莉に……。
「は、花が─────────、っ」
榊が口を開いた時、俺は胸ぐらを掴んで。
大きな音を立てて榊の背中がキッチンにぶつかった。
「し、詩優っ!!」
必死に俺と榊の間に入ろうとする花莉。
…花莉は、なんで俺を止めるのか。
榊に触れられて…────キスまでされて。
嫌じゃねぇの?
そんなに榊がいいの?
俺以外とキスできんの?
「や、夜瀬!!今のは誤解だ…!!花が────────」
何か言い訳をしようとして俺の手を榊が振り払おうとした時。
榊の肘がキッチンに置いてあった何かにぶつかって……。
床へと落下していく。