世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ
それでも、榊が花莉に触れたということは許し難いことだけど…。
俺が榊の胸ぐらを掴むまではしなくてもいいこと。
“冬樹くんのこと何も聞かないでそういうことするの”
頭の中で流れてくるのは花莉の声。
…確かに、俺は花莉のことも榊のことも聞かなかった。
「本当にごめん!!!!!これ、花のマグカップだよな!?俺、同じやつ店で探して買ってくるから!!!!」
そう言った榊に
「…悪い。俺がはやとちりした。
これは俺が買ってくるから、お前はもう帰れ」
しゃがんで、割れたマグカップを片付ける。
「せめて、花に謝らせてくれ……。マグカップを割ったのは俺だから……」
「…俺が掴みかかったせいだろ。責任もって謝っとくから、まじで早く帰れ」
そう言うと榊は「ごめん…」と最後に言って、荷物を持って。
玄関を出ていった。